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《ミュンヘン》復讐の代償 [GOOD MOVIE]

2006年第78回 アカデミー賞 主要5部門ノミネート
■作品賞      ■監督賞(スティーヴン・スピルバーグ)
■脚色賞(トニー・クシュナー&エリック・ロス)
■編集賞(マイケル・カーン)■作曲賞(ジョン・ウィリアムズ)

 

 

 

主演は、この人、エリック・バナ氏。『ハルク』『トロイ』での出演以降

その成長ぶりが期待されていたけど、この映画で大躍進!!


 苦悩の表情をさせたら、おそらくハリウッドで一番かな?

そもそも、悩ましげな顔 してるもんね〜。(笑)
 

 

 今回の彼の苦悩は、1972年に起こったミュンヘンオリンピックでの

パレスチナゲリラの襲撃に端を発する。ゲリラがイスラエル国内に収監されている

政治犯の釈放を求めて、イスラエル人選手11人を誘拐、結果として殺害する。


これに報復すべく、国家の威信を懸けて、イスラエル機密情報機関”モサド”が

暗殺チームを組織、そのリーダーとして、いまだかつて殺人などした事も無い

エリック・バナ扮する《アヴナー》が身重の妻を残して

特殊任務にまい進する・・・・。(写真は彼らのベイビー

 

     ターゲットを追いつめ、引き金を引く。 BANG !! 
            また、ある時は 部屋ごと吹き飛ばす。

                BOMB !!!   

 

やがて、追いつめる側が狙われる側へ。

巨大組織の狭間で翻弄される主人公、アヴナー。

彼の表情にかつての穏やかさは微塵も無くなってゆく・・・。

 

 

宣伝によると、事実に基づいたストーリー としている。

暗殺チームを組織したなんて、イスラエル政府が認めるわけは無いが、

もと、メンバーが内情を暴露しており、信憑性は高いかも・・・?

 

監督は、ユダヤ系アメリカ人のスティーヴン・スピルバーグ監督。

過去にも《シンドラーのリスト》で、ユダヤ人の側からの視点で迫害を

糾弾してきたが、今回は、ユダヤ人国家・イスラエルの汚点をも描き出し、

依然として衝突が絶えないイスラエル・パレスチナ両陣営へ警鐘を鳴らしている。

【復讐に関わる者たちの代償】がいかに高いのかが、この映画のテーマだ。

 

以前から監督のスタイルではあったが、

この作品も”絵コンテなし”で撮影したそうだ。あくまでも非常識なのだが、

ま〜、気心の知れたスタッフなので、何とかチャン、そこんとこヨロシクね〜。

あれがこうで、そうだからさ〜、と言えば、

みんな忍者のように動いてくれるんだろうな〜。

 

特筆すべきは、脚本のトニー・クリシュナー氏。

彼は、舞台の脚本でピュリッツァー賞を受賞する実力派。

込み入った話を分かりやすく、しかも、メリハリよくまとめている。

 

あとは、2006年の ニュー007・ジェームス・ボンド役 

で期待されるのが、暗殺チームメンバーの1人、ダニエル・クレイグ氏。

暗殺者らしく、クールな表情がよくでていた。


ただ、クールは良いんだけど、歴代のボンド君に比べて、

女性を虜にする、軟派な甘い魅力 に欠けているような気がする。

なので、007というよりは、北アイルランドでテロ活動するIRAメンバーって 

感じの方が良く似合っているような気がした。(笑)

 

 

あと、モサドの暗殺チームとのパイプ役が、ジェフリー・ラッシュ氏。

70本以上の舞台と20本以上の映画に出演するアカデミー受賞の大ベテラン。

天才ピアニストを描いた『シャイン』で見せた迫真の演技とは、別の次元で、

おそらく実在したであろう、非情な担当官をオリジナリティ溢れるリアルさで

表現していた。


 

総括すると、脚本良し、撮影良し、編集はまあまあ、

作曲は、御大 ジョン・ウィリアムズ氏。

で、演出はもちろん良し。かなり、優等生というか、

スピルバーグ監督は、今回、受賞を真剣に狙いに行っている感じを

受けました。その真剣さを買って、☆4つです。

(ちなみに、僕の満点は、☆5つね。 )

 

 

作品賞が期待される、《クラッシュ》は2月11日公開か。

マストだなー、これも。


 

 


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コメント 18

siutome

すいません、こちらの手違いで大量トラックバックしてしまいました。お手数ですが、削除してください。申し訳ありません・・・
自分でもびっくりしました・・・
by siutome (2006-02-05 14:02) 

hawaii7

Nobbyさん
☆4つはかなりGoodということですね~「トロイ」は見ましたよ!あの俳優さんですか~ちょっと興味ありです。
by hawaii7 (2006-02-05 15:20) 

nobby

>HALさんにもおすすめです。
by nobby (2006-02-05 16:50) 

nobby

>Rucciさんにもおすすめです。
by nobby (2006-02-05 16:51) 

nobby

>ジュリアさん、スピルバーグと言うだけあってクォリティーは最高です。
イスラエルとパレスチナ問題を娯楽作品として仕上げる事ができるのは、
やはり、スピルバーグ監督しか居ないでしょうね。機会があればご覧あれ。
by nobby (2006-02-05 16:55) 

nobby

>PhotoManiacsさんにもおすすめです。
by nobby (2006-02-05 16:56) 

smottty

戦争の映画化。
スピルバーグがどんな問題提起をするのか確認しに行かなきゃいけないですね。
もう「闘わざるを得ない」はたくさんなんですけど、結局そうなるのかなー。
いずれにしろ、自分で確認しなきゃですね。
by smottty (2006-02-05 18:43) 

nobby

>WIZARDさんにもおすすめです。
by nobby (2006-02-05 19:44) 

nobby

>smotttyさん、スピルバーグは、本当に『戦わざるを得ない』のですか?と問題定義しています。むしろ、復讐の連鎖が示すものは、悲しみだけだと言っているようでした。
by nobby (2006-02-05 20:06) 

sweet-cool

悩ましげな顔、良いですねぇ~♪
映画、みたいなと思いながら、いつの間にか終わってしまうことが多くて。
しかし。。。
なかなかコメントとか入らないですねぇ。。。
by sweet-cool (2006-02-05 21:30) 

nobby

>Ranranさん、こんばんは。アカデミー作品賞ノミネート作品のうち、発表前の公開は、今作品と『クラッシュ』だけなので、2作品は観ておこうと思っています。ソネブロ、今夜も重症です。
by nobby (2006-02-05 22:09) 

もきち

全然観る予定にも入ってなかったのですが、
NOBUさんの解説を読んだら観てみたくなりました。(^^)
二月は忙しいので三月にでも・・・!!
by もきち (2006-02-06 00:24) 

nobby

>もきちさん、こんばんは。エルサレムはユダヤ、キリスト、イスラムの聖地と言うこともあって、その土地の所有は、中東における平和実現への永遠のテーマなんでしょうね。それにしても、なんと業の深い土地でしょう?隣国と国境を接しない日本に住む我々は、せめて、映画くらいでもその辺の事情に思いを馳せたいですね。
by nobby (2006-02-06 00:42) 

muito_prazer

深夜にこの映画のスポットを見るとちょっと気分がへこんでしまいます…。
この映画のネタ元になった事件、あながち日本と無関係ではないんですよね…。この事件の前には日本赤軍がパレスチナ独立を求める組織と組んでイスラエルの空港で乱射テロを引き起こしています。
今の若い人は右=軍国主義、左=反戦平和という風に刷り込まれている人も多いようですが、右だろうが左だろうが、メーターを振り切った人たちが引き起こすことは碌なことではありません…(日本赤軍は極左ゲリラです)。
by muito_prazer (2006-02-06 21:25) 

nobby

>真正柔道家殿、とかく、左翼系の人たちはセルフィッシュ(利己的)な人たちが多いですね。つい最近出会った人もその典型だったし・・・。久々僕はキレました。俯瞰してものを観れないと言うか、緑豆とかもそうだし、偽善ほど迷惑なものは無いですね。
by nobby (2006-02-06 23:55) 

a-k-i

ノンフィクションが好き。
私にぴったりハマる映画のジャンルだぁ。
by a-k-i (2006-02-08 02:19) 

nobby

>a-k-iさんも、是非ご覧下さいな。で、感想も聞かせてね。
by nobby (2006-02-08 09:33) 

JUNe

遅くなりましたが、TBありがとうございます。
by JUNe (2006-03-29 22:54) 

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